さて、いよいよプレビュー当日。
会場は上野の国立博物館。月曜日は休館日なので西門から入館。
プレス用のプレビューなので一般入場はできないんですが、ブロガープレビュー企画ということで貴重な機会をいただきました。ありがとうございました。
混雑がないのはありがたいのですが、時間はたった1時間半。展示品のボリュームに対して、相当タイトです。展示の目玉、伊藤若冲の「動植綵絵」30幅に集中しようと思ってたのに、他にもすばらしい作品が目白押しで……最後はほとんど駆け足になってしまいました。
写真は、許可をいただいた範囲で撮ってきましたが、私のショボいデジカメでは何が何やら。個々の作品を見たい方は是非会場へどうぞ。
最初の部屋は、海北友松や狩野永徳の作になる屏風など、大物が中心。ここでは、左手に展示されてる「萬国絵図屏風」が面白かったです。世界地図を中心に、世界各国の風俗や港町の俯瞰図が描きこまれたもので、安土桃山時代の作。作者名は不詳ですが、イエズス会の画家の指導で描かれたものではないかとのことです。
伝統的な屏風画とはまったく異なり、屏風自体が楽しく学べる教材みたいになってるのが面白い。当時の人たちは、博物図鑑のページを切り取ってきたようなこの屏風を、どんな風に眺めてたんでしょうね。
続いて、突き当たりにドカーンと飾られてるのが有名な「唐獅子図屏風」。教科書にもよく載ってるあれです。……デカいわ。想像以上に。
狩野永徳筆の二頭の獅子(右隻)が有名ですが、今回は、子獅子の描かれた左隻も並んでいます。こちらは永徳の曾孫にあたる常信の作。一双そろった形で展示されることは珍しいそうです。
同じ唐獅子でも、勇壮な永徳筆に比べて、常信のほうは躍動感があって、獅子の顔が楽しそう。安土桃山と江戸という時代の空気を反映してるのでしょうか。有名なのは永徳のほうだけど、常信の可愛い獅子のほうが私は好きです。
そしていよいよ若冲ルーム。まずは豪華絢爛な「旭日鳳凰図」から。
その精緻な描写は、じっくり見始めたらキリがないのですが、時間がない。急ぎます。いよいよこの美術展最大の見もの、「動植綵絵」30幅!
この30幅が全品一度に展示されるのは、東京ではなんと大正15年以来だそうです(京都では一昨年公開されてます)。貴重な機会です。
描かれている動物は、鳥が一番多い。特にニワトリ。他に、魚や虫、カエル、貝などを題材にしたものも。
私は、鳥よりも魚の絵が好きです。中でも「蓮池遊魚図」は全30幅の中でも一番のお気に入りになりました。
若冲は写生を尊び、そのために数十羽のニワトリを飼ってたそうですが、こと魚の絵に関しては、現実から逸脱した幻想味が強くあふれているように感じます。蓮の花が水中に咲いてるのか、はたまた魚が空中を泳いでるのか。じっと眺めてると境界がわからなくなりそうな、不思議な絵です。
魚を描いたものは他に「諸魚図」「群魚図」がありますが、この二点には、他の作品に見られるような構図の工夫、凝った技巧などはなく(いや、あるんだろうけど、よくわからん)、ただ思いつくままに魚軍団を描いちゃいました、みたいな無邪気さがあります。親タコの足につかまって泳いでる子タコが可愛い。
他に、「池辺群虫図」「貝甲図」など、小さな生物がこちゃこちゃ描かれてる絵が好きです。
30幅全部を見終わると、また最初に戻りたくなってしまう。興奮しすぎて、なかなかこの部屋から出られません。
若冲という人は、「つぶつぶしたもの」「整列してるもの」に対して、すごい執着があったようです。あっちもこっちも「つぶつぶ」だらけ。苦手な人は鳥肌が立つかもしれませんが、これがなんとも麻薬的にクセになりますね……。
また、最近の調査で新たにわかった「プルシアンブルー」という人工顔料の使用など、興味深い事柄がパネルで説明されています。藍とプルシアンブルーの発色の違いなど、一目でわかる面白い説明なので、これから見に行く方はパネルにも注目されると良いと思います。絵の迫力があまりにすごいので、つい説明パネルを忘れちゃいそうになりますけどね。
画布の裏から色を塗って微妙な色合いを表現する「裏彩色」の技法については、イヤホンガイドでわかりやすい説明がありました。こちらも是非どうぞ。
他にも、応挙の「旭日猛虎図」(虎の前足が可愛い)、北斎の「西瓜図」(見立てが面白い)など興味深い絵が数々ありますが、大急ぎでお隣の部屋へ。
長くなったので、第二室の感想は次に回します。
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